公益社団法人日本獣医学会 The Japanese Society of Veterinary Science

第1回インフォーマルミーティング 議事録


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第1回インフォーマルミーティング 議事録

日時:
2001年10月6日(土)16:00~17:30
場所:
岩手大学教育学部 1号館234教室
参加者:
合計17名
  • 設置を進める会事務局・利用者の会代表 4名
  • 獣医学会理事 3名
  • 司催機関関係者 5名
  • 設置を進める会・利用者の会会員 5名

  1. あいさつ・経緯説明:事務局
  2. マニュアル等補足説明(資料5について):事務局
  3. 理事会側からの経緯の説明:獣医学会理事

    理事会では、以前から獣医学会として女性研究者を育成する必要性を感じていた。そのアクションの一環として、保育室を前向きに検討している。理事会で保育室設置の話題が出たときも、基本的に反対はなかった。

    しかしながら、法律的な問題から学会、司催機関に「責任」がかかってくるような「内規」は受け入れられない。解決策として、今回提案されたような実際に保育室を利用する「利用者」が「設置者」になるのが妥当であろうと考えた。また、「内規」作成に関わる一連の経過をみていて、(eleph事務局の)対応が非常に真面目で、あらためて保育室のニーズを感じさせられた。料金の問題も、最初は1日5,000円以下とあったが、3,000円以下ということで会計担当とも一応の合意が得られている。「責任」問題と「料金」問題の2点がクリアされ、この後のプログラム委員会で「内規案」が採択されれば、その後常任委員会、理事会での承認を得て、恒常的に「内規」に沿った保育室運営が可能になるだろう。

  4. 利用者の会の立場から:利用者の会代表

    責任の所在が利用者にあることを明確にするために利用者の会を設置することになった。しかし、利用者は遠方から子どもを伴い学会に参加してくるため、司催機関に担当者を置いて、利用者の会と連絡を取り合い、保育室の準備など利用者で負えない部分をフォローして頂きたい。また、学生や非常勤職の場合、経済的に苦しいことが考えられるので、料金の補助は不可欠である。保育室の設置は、学会の開催会場や開催地の状況が様々であるため、場合によっては外部施設の利用もやむを得ないであろうが、基本的には学会会場内に設置していただきたい。

  5. 司催機関の担当者から:獣医学会理事

    保育室設置に関して、本日の懇談で確認が必要なのは、この内容で司催機関の合意と協力が得られるかどうかということである。学会はお願いをする立場である。司催機関側はこれらの内容に関して問題なく合意できるかお話を伺いたい。

    1. 岩手大学

      保育室設置で一番問題になるのは「場所」だろう。岩手大では、以前にも保育室に利用したことのある生協の和室を利用できたので良かった。

      場所の確保の次に問題になるのが「シッター」である。今回は、社会福祉協会所属のボランティア団体を利用した。この団体は、以前に他学会で学会内保育室の保育をした前例・ノウハウがあったので、設営がスムーズに行ったのはラッキーだった。また、非営利団体だったので、1,000円/1hと低料金だっだ。その結果、支払いが5万円、利用料金による収入が3万円で、学術集会からの援助は2万で済んだ。

      また、シッターの方でお布団、おもちゃ、折り紙、紙粘土など持ち込んでもらい、担当校としては準備が楽だった。ただし、前日まで生協の教科書販売をしていたときに和室を倉庫にしていた関係で、運び出すのが大変だった。

      === その中での議論 ===

      <理事>

      子どもの安全確保が責任問題のなかで重要であるのでお聞きしたいのだが、今回は保育室の外に、運び出した教科書が積んであったが危険ではなかったか。子供をずっと和室に閉じこめておくことは出来ないので、保育中に子供が周辺を走り回ったりもするだろう。

      また、内規では部屋の中のコンセントなど、危険が予測されるところは事前に安全を確保することになっているが、どうだったか?

      <利用者>

      利用者として気づかないくらいで、保育室の安全面は心配ないと思われた。保育室の安全面の確保も、シッターの数が確保されていれば、それほど心配ないはず。今回はシッターの数が充実していた。

      <司催機関担当者>

      子供の人数を伝えて、ファミリーサポートの方で必要なシッターの人数を算出してもらった。料金が格安だったので、言われたとおりの人数でお願いした。

      今回は自分が(ファミリーサポートの)会員になり(入会金1,000円)、それも含めて支払額5万円だった。一人が会員なら、他は会員でなくてもOKということで、私一人の入会金だけで済んだ。今回利用した、社会福祉協会のシッターサービスは全国に存在するので今後も活用できるのではないか。

      <事務局>

      つくばでも実は最初社会福祉協会のシッターを利用しようと考えたが、つくば市では「つくば市民以外」の利用はできないと断られた。同じようなサービスは全国に存在するが、地方によっては受け入れ状況はさまざまではないか。

      <事務局>

      公共の協会等は前例に弱いので、「盛岡では一人が会員になっていれば、市民以外出も利用できた」と言えば、対応が変わるかもしれない。

    2. 東京農工大学

      大学に学内の和室を保育室に使いたいと申し込んだところ、保育室としては使わせられないと言って利用を断られた。また大学としては事故が起きた場合の「責任」を負えないので、学内に保育室は設置できなかった。今回の内規案によれば、「利用者」が「保育室の設置者」となり、責任を負うことになっている。利用者がシッターを雇用すると言う概念は非常に良いと思う。

      === その中での議論 ===

      <理事>

      責任問題等から言って、一番問題がないのが既存の保育施設を利用することである。実際に、既存の保育施設を利用した方の感想を聞きたい。

      <利用者>

      兄妹二人で利用した。兄の方はもう4歳になっており、それなりに楽しくやっていたようだが、妹の方は人見知りが激しい時期だったこともあり、全く知らない集団に放り込まれて、ずっと緊張していたようだ。

      <理事>

      利用料金は、いくらくらい負担したのか。

      <事務局>

      兄弟割引があったが、補助を差し引いた額は1日1万円だった。1人あたり5千円の計算になるので、一人1日5千円以下の基準はクリアしているが、現実として高いと思う。

      <理事>

      1日で1万円は高いと思う。

      <司催機関担当者>

      特定の利用者に組織的に援助を行うということに対して、「受益者負担が妥当」という考え方をする人も出てくるのではないかと思うが、学会や司催機関はどのような考えにもとづいて、こういった援助を行うつもりでいけばいいのか。

      <理事>

      このことに関しては、受益者負担という考え方をするのではなく、学会として女性研究者の育成を積極的に奨励していくためのアクションであるという姿勢をはっきりとうちだしていけば良いと思う。

      <司催機関担当者>

      女性研究者も、利用料金を学会が負担してくれることで、学会が自分たちを認めてくれていると感じることができ、やる気が出てくる。女性研究者の育成につながるではないか。

    3. 大阪府立大学

      事務局は保育室の設置に消極的であったが、最終的には大会長の意向もあり設置が決まった。特に、大変な事はなかったと思う。会場の確保に関しては、貸した以上は自由に使って良いと言われた。シッターは、タウンページを見て片っ端から電話をかけて探し、料金等を考慮して決めた。会計と保育室を同じ担当者が仕切っていたので、お金のことはスムーズに行った。

      === その中での議論 ===

      <司催機関担当者>

      今回(岩手大)も、会場は大学から一括で借りあげたため、ここを保育室として使用したいので借りたいという話はしなかった。

      <理事>

      将来的には、学術集会の主催校を決める際に、保育室を設置できるかという事も、選考基準に入れるべきだろう。

  6. 総合討論
    1. 会計について

      <利用者>

      今回の岩手と都心の学会では、シッター料金体系が異なると思われるが、物価の安い岩手大の予算を元に、次回からの予算を立てても大丈夫か?

      <事務局>

      岩手だけでなく、つくば、大阪府立大での実績を考慮して、概算するので心配ない。

      <理事>

      獣医学会から利用者に準備金を貸し付けると、お金の流れが複雑になる。学会から利用者の会に直接貸し付けるのではなく、学会が準備金として、司催機関に渡すお金の中に「保育室準備金」と位置付けた分を上乗せしておき、司催機関が利用者の会にそれを準備金として貸付るということで、どうか。

      <理事>

      実際にはどの位の額を考えているのか。

      <理事>

      どれくらい必要か分からないので、一回30万円を考えているが、実際の所はどうなのか?

      <事務局>

      一回20万円あれば、都心でも何とかなる。

      <理事>

      学術集会全体の準備金が1回100万円なので、その20%が限度だろうと思う。もちろん余剰金は返還していただく。

    2. 学童の受け入れ問題について

      <利用者>

      自分の子供は小学校に上がっている。また今後、第一世代の子供達が成長していって、小学校に上がるようになる。内規には、年齢制限についての記載はないが、これは年齢制限を設けないと解釈して良いのか?

      <司催機関担当者>

      今回も実際に8歳と5歳の姉妹を受け入れたが、シッターさんに聞いてみたところ、姉妹なら上の子が下の子の面倒をみるので歓迎だと言われた。ケースバイケースでよいのではないか。

      <利用者>

      今回、小学校1年生の子どもを保育室で預かって頂いた。子どもは知的障害があり、生活年齢は3-4歳程度であるため、小学生ではあるが、だれかが面倒をみなければ保育に欠ける状況である。ひとくちに就学児といっても状況がさまざまである。保育室の利用者は今のところそれほど多くないので、現在は就学児童も十分に保育が可能である。将来的に利用者が多くなり、なんらかの利用制限が必要になった場合でも、保育室設置の本来の目的が、保育をしてもらう必要のある子どもを抱えながら研究活動をする研究者の支援であるとすれば、柔軟に適用して、年齢だけではなく様々な尺度から、保育をより必要とするものを優先することが合理的であると考える。

      <利用者>

      学童の大きい子供と、乳幼児が一緒でも心配ないか?

      <利用者>

      日頃利用しているシッターの家でも、年齢差のある子たちが一緒に預けられているが、心配はなさそう。

      <司催機関担当者>

      学会内保育室を利用する子供たちは日常的に保育所で生活している子供たちなので預けられることに慣れている。その点はデパートの託児所等とは違って、心配ない。

    3. 担当者の交代について

      <司催機関担当者>

      保育室が広がっていく中で、利用者がみんな顔見知りでない場合も出てくるだろう。実際に今回は何名か事務局の活動を知らない利用者もいた。利用者の会が保育室を設営するにあたって、担当者への引継や会の運営に心配はないか。

      <事務局>

      育児と研究活動の両立を支援するための学会内保育室なのに、利用者の会を運営することがかえって利用者の負担とならないように、マニュアル等を活用して負担の軽減をはかりたい。保育室が5年10年と続いていくなかで、当然世代交代もしていく。利用者同士の情報共有のための方策も今後の課題だろう。

    4. 司催機関の協力について

      <理事>

      マニュアルの「部屋の準備、設営」の項目は、基本的に司催機関に依頼することになっているが、設置者が「利用者の会」であるのだから、「利用者の会」を全面に出して、司催機関はあくまでも援助するという形の方が良くないか。

      <事務局>

      自分達でできるシッターの選定や備品の準備は、出来るだけ利用者の会で行うが、備品の搬入や部屋の準備・撤収等は、どうしても利用者の会だけではできない。その部分は、司催機関にお願いしたい。

      <理事>

      その程度のことなら、司催機関が援助できるだろう。マニュアルの冒頭にも「保育室の設置と運営は利用者の会が主体となり」と記載されているので、特に文面の変更はしなくても良いと思う。内規・マニュアルについては、このままの形で明日のプログラム委員会に図ることにする。